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【取材記】母子家庭の貧困は自己責任?

ハートネットTV、ディレクターの青山です。
『子どもクライシス』第1回「貧困・追いつめられる母子」で母子家庭の子どもたちの現状をお伝えしました。みなさん、どうご覧になりましたか?
今回、母子家庭の子どもたちにしぼって取材したのは、子どもがいる世帯の中で貧困のリスクが圧倒的に高いからです。
放送後、番組には『子どもたちに罪はない。なぜ親はもっとしっかりしないのか』という声も寄せられました。

番組でもご紹介したのですが、こちらのデータをご覧下さい。

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シングルマザーの貧困

母子家庭の貧困率は5割を越え、就労による収入は平均181万円です。これは子どもがいる他の世帯に比べて400万円低く、その5割以上が非正規雇用。仕事を掛け持ちして暮らしている人も少なくありません。
本人の努力が足りない、そんなの自己責任だと言われる方もいるかもしれません。しかし次のデータをご覧下さい。
 



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ひとり親世帯の貧困率・親が働いていない場合

これは母子世帯、父子世帯の1人親世帯で、親が働いていない世帯の子どもの貧困率のデータです。日本はOECD諸国の平均を少し超え、貧困率が6割です。アメリカなどと比べると低い状況となっています。


これに、親が働いている場合の貧困率を赤い棒で加えると以下のようになります。

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ひとり親世帯の貧困率・親が働いている場合


OECD諸国の平均を含め、「親が働いていない」ときの貧困率で圧倒的だったアメリカも大きく数値を減らしています。
しかし日本だけがほとんど変わらず、ひとり親家庭の親が働いても、貧困から抜け出せないという現状がみえてきます。働いても働いても豊かになれないという状況なのです。


「そもそも子どもがいるのに離婚を選んだことが悪い」という厳しい意見も寄せられました。しかし取材した大阪子どもの貧困アクショングループの調査では、シングルマザーの7割がDVを受けていたという結果が出てきました。DVによる結婚の破綻で経済的に困窮してしまうという背景の深刻さを取材を通して実感しました。


そんな中で増加する、生活保護にもつながらずに困窮する家庭。私たちはどう向き合っていけば良いのでしょうか。

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