Real ~KoKoRo

心を刺激するテーマ。

学歴フィルターを自分にかける草食就活生の哀しい習性

 

学歴フィルターをかけているのは、企業だけではないようです

 皆さんは自分自身の「学歴」が気になりますか?

 「学歴フィルター」という言葉があります。企業が採用活動の際に、難関大学を筆頭に限られた大学生を優先的に採用したり、あるいは逆にある基準以下の大学の学生を全て不採用にしたりすることを指す言葉です。

 企業によりけりですが、確かに面接の場で応募者リストを拝見する際、所属する大学名が異常に偏っていると感じるケースは散見されます。しかし、学歴にこだわっているのは企業だけでしょうか。今回は、自ら学歴フィルターをかけてしまっている最近の学生の行動について紹介したいと思います。

高学歴の学生を求める企業の心理は
婚活中の女性に近い?

 仮に企業内で明確な学閥が存在した場合、その大学出身の方は有利な状況になります。また実際に私自身が過去、既卒学生の就職支援をした際にも、国立大学出身者や難関大学卒業者は、企業側から早急にオファーが来てすぐ内定した例が複数ありました。学歴の力は確かに存在しているというのが私の所感です。企業では難関大学を卒業している事実が一定の評価となっているわけです。

 計画的に勉強をしてきて入試試験をパスしたり、推薦を取得したという意味では、確かに学歴は企業の採用選考で参考にする一つの要素となりえるのかもしれません。またそういった高学歴の社員が多くいる組織であれば、高学歴の新入社員を欲する気持ちが強くなる可能性があります。

 さらに、学歴という点で見てみると、就活以外でも面白いデータが存在します。実は高学歴を求めるのは何も企業だけではないのです。

難関大学卒の女性の71%が自分と同等レベル以上の学歴のお相手を希望――」

 これは東進ゼミナールと株式会社IBJの共同意識調査によるもので、IBJの婚活サービスを利用中の未婚男女が対象です。

難関大学出身の女性がパートナーに対しても同等レベル以上の学歴を求めるのは、企業が高学歴の学生を求めている理由と根本的には大差がないのではないか、と私は考えています。企業も女性も、「高学歴=優秀であり将来の活躍や安定につながる」と考えて、その相手を探しています。就活だけではなく、婚活という場面でも学歴フィルターがあるのかと思うと、改めて高学歴の持つ力を考えさせられます。そもそも影響力がなければ、学歴詐称をする必要もありませんから。

 とはいえ、本連載の第45回『「高学歴」「複数内定あります」ベテラン面接官でも騙されやすい学生の特徴』第53回『内定多数の就活エリートがトンデモ社員化する典型例』でもご紹介したように、高学歴や就活エリートがそのまま社会で大活躍しているわけではありません。結婚生活でも高学歴のお相手だから幸せになれるとは言い切れないはずです。

75%の学生「学歴が気になる」
“無難な企業”しか目指さない若者たち

 さらに、ここでもう一つ、学歴フィルターをかけてしまっている人たちの例を紹介します。それが、当の学生たちです。

 「自分自身の学歴は気になりますか?」

 記事の冒頭でも登場した上記の質問を、学生に行ったアンケート結果があります。特定非営利活動法人Checkが首都圏の大学生を対象に調査したものです。この結果によると、実に75%の学生は「学歴が気になる」と回答。さらに77%の学生が「学歴は就職活動や将来において大きく影響するものだと思いますか」という回答に「YES」と答えています。

 私自身、実際に学生と話しているとまれに感じることですが、「ウチの大学はたいしたことない」という自己イメージを持っている学生ほど、“無難な応募先”にしかエントリーしない傾向があります。

 ダメ元でも人気企業にエントリーする学生がいる一方で、自分の大学を考えて必要以上に強いブレーキを踏んでしまうわけです。自分が自分に学歴フィルターをかけてしまっている典型例と言っていいでしょう。

 しかもその学歴フィルターの根拠となっているのは、いわゆる「大学就職率ランキング」や偏差値など、外からの情報によってつくられたもので、必ずしもそのデータがそのまま自分自身の就職活動に直結するわけではありません。

 こうした就活生の思い込みによる萎縮は、非常にもったいないことだと感じています。自分の通う大学や高校を嫌うことで生まれるメリットはありません。自分の所属する集団に否定的になると、自分自身を否定していることにもなってしまいます。

 そうして就職活動自体に及び腰となり、自分が行きたい企業というより、“入れそうな企業”に入社してしまう。募集難の企業にしてみれば一見喜ばしいことにも思えますが、やりがいが見出せないままに早期退職をしてしまう雇用のミスマッチにもつながりやすくなります。そもそも入りたい会社であったり、やりたい仕事があるから入社しているというより、分相応だと思って入社しているわけです。これでは本人だけでなく、社会の活性化にもブレーキをかけてしまいます。

高学歴の学生ほど“前向き”
卑下する新入社員は歓迎されない

 一方で、そもそも高学歴の学生であっても全て望み通りの企業に入社できているわけではありません。難関企業となれば、それこそ難関大学に入るよりさらに高いハードルを越えなければなりません。

 しかし、そんな高学歴の学生の面接を見てみると、話し方などの印象や話す内容からは、前向きなイメージを感じることが少なくありません。就職活動全般においても同様で周囲の協力も仰ぎながら進めています。これも先ほどの自己イメージが無関係ではないと考えています。すなわち「ウチの大学は名門だ」という自己イメージが仮にあった場合には、それが自信の一つの要素となりえるからです。

 

 だから難関大学に入学すべきと言っているわけではもちろんありません。要は学生が自分自身の所属大学やサークル、学部、果てはこれまでの人生に対してまでも、どういったイメージを持っているかによって、その行動までもが変わってくるとお伝えしたいだけです。

 高学歴の人でも「ウチよりもっとレベルの高い大学は存在するから」という思い込みがあれば、結局自信は生まれません。最近では各大学でも就職率が重要視されています。しかし、実際にキャリアセンターを利用している学生は多くはありませんし、どちらかというと一定のリピーターが繰り返し利用している面もあります。1年生時から就職に関する講義を受けたとしても、肝心の本人の自己イメージが下がっている状態では効果が薄くなってしまいます。

 就職活動をきっかけに人間が丸ごと変わるは不可能に近いですが、その活動を元に新たな視点を手に入れたり、社会に向けて意識をしたりという出来事は大きな成長につながります。

 大学名や所属している組織を受け入れ、願わくば自己イメージが上がり、個人として自信を持って活動ができる社会になるべく行動できる土台を築いていきたいものです。自分を卑下して入社してくる新入社員は、あまり歓迎できるものではありません。前向きな学生にこそ入社して活躍ほしいと切に願います。

 間違いなく20、30年後の日本を創っているのは彼らです。学歴を超えた自分の可能性を信じて突き進んでいただきたいものです。

(キャリアプロデューサー 櫻井樹吏)

参考資料:
特定非営利活動法人Check『学歴・学生生活・就職に関する意識調査』

時間をムダにしている人に共通する5つの習慣

Pick The Brain:やることはたくさんあるが時間がない。

皆さんも同じかどうか分かりませんが、私はいつも、たくさんのことが自分の注意を引こうと目の前に迫ってくるような忙しさに追われています。

返信しなければいけない緊急のメールや、週末までに送らなければいけないファイル、そして先月からずっと観たいと思っていた映画など、やろうと思っていることはたくさんあります。

ワークライフバランス」なんて、やることが山積みになっているときはただの空想上の考えにしか感じられないでしょう。

皮肉なことに、できるだけ多くのことを済ませようとすると逆効果になることがあります。

以下に5つ、非生産的になってしまう習慣をまとめました。自分に当てはまるものがないか見てみましょう。

1. できるだけ多くのことを済ませる


無理な状況で必死にすべてをこなそうとして、すり切れている人々を見たことがありませんか? イライラしながら息をする時間もないほどにあちらへこちらへと走り回る人たちがいます。すべてをこなそうとするのは、自分のタスクの優先順位をつけられていないことの証拠です。

こう考えてみましょう。私たちが1日にこなす仕事がもつ影響力は、とても小さいかほとんどないに等しいはずです。すべてをこなさなければいけないと考えるのではなく、一歩下がって本当に終わらせる必要のある重要なタスクが何か、順位をつけてみましょう。


2. 適当にやる


私が学校に通っていた頃、クラスでスピーチをすることになったとき、必ず1人は「適当にやるわ!」と言う人がいたことを覚えています。

たしか、その人はクラスで1番スピーチが上手だったわけではなかったと思います(もし1番上手だったらそれは適当にやっていたわけではないことになるので)。

高いパフォーマンスをする人々は、口先だけではなくて心が前向きです。周到に準備して毎日練習するから、本番で文句なしのパフォーマンスを出せるのです。

もし他より秀でたいならば適当にこなすのはやめて、その代わりにしっかり練習しましょう。


3. 自分に自由時間を与えない


よく勘違いされるのが、成功した人々は昼夜を問わず働いて、楽しみや遊びに時間をとらないと思われていることです。

これはまったくデタラメです。

クリエイティブな人々やイノベーターはアイデアを探すために休み時間を必要とします。きちんと出かけて遊ぶことで、問題を違った観点から見れるようになるのです。

もしリフレッシュしてクリエイティブになりたいのなら、仕事をする中でも休憩時間を取るようにしましょう。


4. ランチを抜く


私の友人の1人がある日、1日18時間休憩なしで働かなければいけなかったときのことを自慢してきました。しかも、食事も昼寝もなしだったそうです。

その傍ら、別の友人は適度な睡眠をとり、自炊してきちんと食べ、多くの時間とエネルギーを自分の趣味に使えています。

食事を抜くことはエネルギーと集中力を下げます。そのため、時間内にできる仕事の量が減ります。そして、すぐにお腹が満たせるジャンクフードやスイーツなどをもっと食べたくなる欲求が高くなります。

健康的な食事は、意識をクリアに保てるだけでなく、不健康な食生活も防ぐのです。


5. すべてをマイクロマネジメントする


マイクロマネジメントはすべてを自分の思い通りにしたい完璧主義者に共通する問題です。他人の仕事に干渉し、「もっと低価格でこなせたはずだ」と言って自分の考えるやり方でやろうとする人。あなたは身に覚えはありませんか?

マイクロマネジメントの悪いところは、周りの人が自分の仕事がリスペクトされていないと感じて息苦しくなり、不満を感じてしまうことです。

細かいところにいちいち目をつけるより、もっと大きな視点でものごとを見てみましょう。自分の裁量を少し緩めて、ほかの人に決定権を託してみましょう(ある程度で構いません)。あなたの精神的にも、そのほうがラクになることでしょう。

今日は限られた時間で何をしますか?

時間をムダにしている人に共通する5つの習慣

「熊本地震は人工地震」をぶった切る

「熊本地震は人工地震」をぶった切る | Solid Earth Channel

2016年4月14日から熊本県を中心に続発している地震について「これは人工地震だ!」というけしからんモノがいる上に、それを拡散している残念なヤカラがいます。
益城町地震波形にP波がない」というのが根拠のようですが、震源直上なんだから、震源地震計の距離が近くてP波が見えにくいのは当たり前
波形で、S波の立ち上がり付近をアップにすれば、P波は見えてくるものなので「アホか」の一言です。

管理人はお行儀が悪いのでこの程度でこういうヤカラはバッサリ切りますが、地震学者の小泉尚嗣さん(滋賀県立大学)は、「そもそも人工地震でM7の地震を起こせるか?」を科学的に説明してくださいました。
ご本人の承諾を得て、全文掲載いたします。

-----ここから-----
人工地震でM7クラスの地震が起こせるかどうかを考えてみます.

4/16の未明の熊本の地震震源が深さ12kmとされていますから,まず,深さ12kmまで孔を掘らなくてはなりません.
ロシアのコラ半島で実際に深さ12kmまで約20年かけて掘った例があります.費用は不明です.
ドイツでも1990年から4年かけて9kmまで掘った例があります.
このときの費用は約400億円です.
しかも孔の大きさは,地表付近で70cm(28インチ),9kmの底付近で16cm(6.5インチ).
まず,深さ10kmまで掘るのが,費用としても時間としても大変です.
さらに,それを人知れずやらなくてはなりません.

以上の点を克服したとして,通常行われる人工地震で最大級のものはTNT火薬10トン程度でエネルギーにして、42GJ(ギガジュール)程度です。
これは、マグニチュード4の地震の波動エネルギー(約63GJ)にの2/3に相当します.
ただし、地震のエネルギーのごく一部のみが波動エネルギーになっていることを考慮して、その比を10%程度とすると、マグニチュード4の地震の総エネルギーは630GJということになります。
したがって、最大級の人工地震15発分=TNT150トン=M4の地震ということになります。

4/16未明の地震マグニチュードは7.3とされていますが,暫定なのでとりあえずM7とすると,M4の地震のエネルギーの約3万2千倍.
上記の最大級人工地震の48万発分=TNT火薬4,800キロトン=4.8メガトン.
直径2mの孔を12kmまで掘って(莫大な費用に加えて何年かかるやら・・・),それを全部TNT火薬で埋めても60キロトンしかありません.
→無理です.

島型原爆がTNT火薬15キロトン相当といわれるので,原爆を使っても無理です.
水爆ですとTNTにして数メガトン以上が可能ですから,エネルギー的には可能です.
でも,直径で1mオーダーの孔を12km極秘裏に掘って,水爆を極秘裏に日本に持ち込んで,それを極秘裏に爆発させて・・・.
→何のためにやるんでしょうね.
-----ここまで-----

オカルト情報を作ったり拡散したりするのはオモシロイかも知れませんが、さすがにここまで根拠がしっかり書かれると、拡散することが恥ずかしくなってくると思うんですが、拡散したい人は、こういう記事を見つけても見なかったフリをするんでしょうねぇ。
何が楽しいんだか。

「マイルドヤンキー」「さとり世代」の生みの親・原田曜平氏「今若者のトレンドの背景には“パリピ”が存在している」

■「パリピ」イコール陽気なバカ、ではない

「パリピ」をご存じだろうか。

『月曜から夜更かし』(日本テレビ系)の視聴者ならば、「ああ、あの能天気な……」と思うかもしれない。2014年、同番組では埼玉県在住のラッパー・イルマニアが「パリピ」として取り上げられ、反響を呼んだ。

 また、最近ではAKB48のメンバーが「パーリーピーポー、パーリーピーポー」と繰り返すという金融機関のCMもあった。

「パリピ」とは「パーティーピープル」の略で、イルマニアから連想されるのは、陽気で騒ぎが好きな若者といった像だろう。

最近の若者トレンドの背景には「パリピ」の存在が


 が、それは一面的な見方だ、と指摘するのは、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田曜平氏だ。原田氏の新著『パリピ経済 パーティーピープルが市場を動かす』によれば、パリピとは次のような存在だという。(以下、引用は同書から)

「パリピは既に巷で流行っているものをミーハーに追いかけるのではなく、海外セレブや国内の一部で流行っているものをいち早く見つけ出す嗅覚を持ち、それを自分のものにしてマスに対して伝道する役割を持っています」

 これまで、「マイルドヤンキー」「さとり世代」といったキーワードで、若者のトレンドを掴んできた原田氏だが、最近の若者トレンドの背景には常に彼ら「パリピ」が存在しているというのだ。

「昔から流行に敏感な遊び人の若者なんていたじゃん」と思われるかもしれないが、彼らとパリピの決定的違いはSNSだという。

 いかに敏感なアンテナを持つ若者がいても、かつてはそれらのトレンドを伝え、広めるにはマスコミを媒介する必要があった。

「しかし、スマートフォンが普及してSNSが発達した2010年代に入ると、マスコミでなくとも、周囲に影響力のあるパリピの若者による投稿写真が引き金となって、流行が生まれるケースも出てきたのです。

 流行を追う彼らのアンテナは現代のマスコミより時にずっと鋭敏で、かつ拡散力・集客力はマスコミを上回る場合すら出てきているのです」

■ハロウィンの伝道者だった

 昨年、ハロウィンの市場規模は1220億円(前年比11%増)となり、バレンタインデーの市場規模を抜くまでになったことは話題になった。この急拡大にもパリピが関与しているのだ。

 もともと宗教的祭事から発生し、アメリカで定着していた民間行事であるハロウィンを「若者や大人がコスプレして楽しく騒ぐイベント」として広め、定着させたのはパリピである。

「2007、08年頃から都内でクラブ通いをしているパリピが仮装して街に繰り出したことを皮切りに、その様子がSNSにアップされ、数年の時間をかけて周囲の若者たちに拡散・伝播していきました」

 もちろん、それ以前にも東京ディズニーランドでのハロウィン・イベントなど、流行する素地はあったのだが、決定的な存在は「パリピ」だった、というのが原田氏の見立てである。

「そんなチャラチャラした奴のことなんてどうでもいい」とガンコ親父的な思考を持つのは自由である。が、消費者相手のビジネスにかかわっている人ならば、パリピの動向について知っておいたほうがいいのではないか、という観点から原田氏は同書で「パリピ」の生態の解明に挑んでいる。

デイリー新潮編集部

校長を「殺人」で告訴! 県・先輩生徒には1億円を賠償請求 学校を破壊するモンスターマザーの傾向と対策

 丸子実業高校(現・丸子修学館高校)1年生でバレー部員の高山裕太君(16)が自室で首吊り自殺をはかったのは、2005年12月6日のことだった。母・高山さおり(仮名)は、自死の原因が学校にあったことを訴え、校長を「殺人罪」で刑事告訴する。しかし、校長は不起訴となり、自殺における学校の責任も完全否定。反対に“原告の態度などが裕太君にストレスを与えていた”とさおりの責任を示唆する判決が下される結果となった。

 裕太君は、死の直前の05年の8月末に家出をしている。それを受け、さおりは担任の立花実(仮名)やバレー部部長の教師を、激しく罵倒し、謝罪文を校長に要求する。断られると「お前は馬鹿だ、人殺しだ!」と電話で怒鳴った。裕太君は9月5日保護されたが、後に、教師たちにはこう打ち明けていた。「お母さんが怖くて家に帰りたくなかった」。『モンスターマザー』(新潮社刊)の著者、福田ますみさんが描く“学校を破壊する怪物”の実態とは。

 ***

 その後も、さおりの暴走は収まらなかった。

 息子の登校を止めさせた結果、裕太君は、わずか2日間、学校に来ただけで再び不登校となった。

 また、家出と時を同じくして、2年生バレー部員の山崎君(仮名)が裕太君の物まねをしていたことが発覚。同じく山崎君が練習態度を注意した後、裕太君を含む1年生全員の頭をプラスチックのハンガーで叩いたこともわかった。

 状況からいずれも、いじめや暴行とは考えられなかったが、ほめられた行為ではない。そこで教師たちは、部員全員を集めて厳重に注意したのである。

 すると、さおりの攻撃対象はバレー部へと移る。

 山崎君の自宅には、「人殺し!」と毎日電話。

「よくバレー続けてられるね。あなたの子供がいじめたから、うちの子は好きなバレーもできず、学校も行かれない。自殺も考えている。あなたたちのことを訴えますからね」

 監督の自宅にも電話を入れている。妻が出ると、

「あなたのだんなのせいで、うちの子はもう口もきけない。おかしくなっちゃったんだよ。どうしてくれんの! 山崎をかばってうそ言って」

 当時14歳だった監督の長男にもこうわめいた。

「あなたのお父さんのせいで私の息子は自殺しようとしている。もし死んだら、あなたのお父さんのせいだ。人殺し! お前ら、最低家族だな」

 マネージャーを務める2年生部員にも、殴り書きのファックスが送られてきた。

「病気のゆうたをよってたかってみんなでいじめた!!子供の気持ち何も考えない学校、バレー部全員の積(ママ)任だ!!」

「私も子供も病気なのに口先であやまっても全部うそのこう動だ!! 丸子はくさっている ゆうたの人生をかえせ!!」

 度を越した抗議によって、関係者はみな精神的に参ってしまい、丸子実業は、正常な学校生活が危ぶまれるほどの事態に追い込まれる。そして、家と学校共に居場所を失った裕太君に12月6日、“悲劇”が起こったのだ。

■「バックに県や県教委」「警察官もグル」

 事件はその後、前代未聞の展開を辿る。06年1月、高山さおりは、裕太君を殺害した容疑で校長を告訴。続いて同年3月には、長野県、校長、山崎君とその両親を相手取って、1億円を超える損害賠償を求める民事訴訟を起こす。

 これに対して、いじめや暴力は事実無根だとして、バレー部の監督、保護者、部員たちが逆に、さおりを訴えた。さらに校長も、後に、さおりを相手取って、名誉毀損の裁判を起こす。

 結果については先に述べたが、裁判では、さおりの異常性が白日の下にさらされていく。詳細は拙著『モンスターマザー 長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』をお読みいただきたい。

 この“事件”を振り返って、校長が言う。

「母親への唯一の訴えを自殺という方法でしか選択できなかった裕太君の心情を考えると、いかに母親の責任が大きいかということを再認識せざるをえません」

 そのさおりに取材を申し込むと、

「裁判は真実が通らないんですよ。大多数で決まるんです。バックに県や県教委がいて圧力をかけてくる。警察官もグルですよ」

 と述べた挙句、

「書かないでください!」

「警察呼びますよ!」

 とまくし立て、ドアを閉めた。

「特別読物 学校を破壊する『モンスターマザー』の傾向と対策――福田ますみ(ノンフィクション・ライター)」より

福田ますみ(ふくだ・ますみ)
1956年、横浜市生まれ。立教大学社会学部卒業後、専門誌、編集プロダクション勤務を経てフリーに。2007年、『でっちあげ』で新潮ドキュメント賞受賞。今年3月には「新潮45」連載の「モンスターマザー 長野・丸子実業高校『いじめ自殺』でっちあげ事件」で、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」作品賞を受賞した。

  • 週刊新潮
  • 2016年4月7日号 掲載

高1自殺の原因は“いじめ”ではなく“母”だった 学校を破壊するモンスターマザーの傾向と対策

モンスターペアレント」の存在が顕在化して久しいが、以下はその極限の事例と言えるだろう。長野の高校で起きた「いじめ自殺」事件の真相を描いた『モンスターマザー』(新潮社刊)。その著者、福田ますみさんが、学校を破壊する怪物の「傾向と対策」を伝授する。

 ***

 長野県の東部に位置する北佐久郡御代田(みよた)町は、人口1万5000人ほど。高原野菜の栽培と精密部品の製造が盛んな町である。

 軽井沢に隣接しながら、その喧噪とは無縁の静かな高原地域。そこで世間を大いに騒がせることになる“事件”が起きたのは、2005年のことだった。

「出ていけ! お前たちが裕太を殺した。お前だけは許さない!」

「人殺し!」

「死んでから来ても遅い!」

「謝罪する気がないなら帰れ!」

 12月6日、浅間山を望む丘陵地にある家の自室で、丸子実業高校(現・丸子修学館高校)1年生でバレー部員の高山裕太君(16)が首を吊り、搬送先の病院で死亡が確認された。

 知らせを受け、急ぎ自宅に駆け付けた学校の関係者に、母・高山さおり(仮名)は、半狂乱で前述のように絶叫し、衆目の中で謝罪や土下座を強いた。

「学校が悪かったんです。きちんと対処してくれていたら、子どもは死ななかったんです」

 彼女は、一方で、押しかけたマスコミに対しては、息子が「いじめ」の被害者であることを涙ながらにアピールした。

 マスコミにとって、「いじめ自殺」は視聴者の注目度の高い“格好のネタ”だ。これを受け、新聞各紙には、〈高1いじめ自殺〉の文字が並び、テレビも彼女のインタビューを流して追随。1カ月後、さおりが校長を「殺人罪」で刑事告訴すると、各紙にはより刺激的な見出しが躍った。

 ところが、だ。

 それから3年――。

 校長が不起訴になったのはもちろんのこと、さおりが起こした損害賠償請求訴訟でも、長野地裁は自殺における学校側の責任を完全否定した。それどころか、逆に〈原告の態度、意向などが裕太に相当なストレスを与えていた可能性を否定できない〉と、さおりの責任をも示唆する判決を出したのである。

 言わば、彼女は息子を死へ導き、その責任をすべて学校になすりつけようとしていたことになる。

 学校の教師に過大な要求や無理難題を突きつける、いわゆるモンスターペアレントの呆れた行状はつとに有名だ。

 子供の遠足に弁当を作れないので、先生が作って持ってきて。子供が朝起きられないので、先生が毎朝モーニングコールをしてほしい。会社を休んで授業参観に行くのだから、その分の給料を担任が支払え。

 だが、冒頭の母親のモンスターぶりは、こんな例をはるかに凌ぐすさまじさである。現代において学校現場が格闘しているのは、どのようなレベルの“怪物”なのか。それに対し、どう立ち向かうべきなのか。以下、このケースを紹介しながら、詳らかにしていきたい。

■祐太君の家出

「担任交代、いや退職しろ! 裕太だって先生が原因だって言っている。なんで校長、教頭が謝罪に来ないのか。もう二度と家に来るな!」

 息子の家出の原因は学校にある。そう言い張る母親は、自宅を訪ねてきた教師たちに耳を疑うような怒鳴り声を浴びせた。

 裕太君の行方がわからなくなったのは、05年8月30日だった。前日、担任の立花実(仮名)は、裕太君が夏休みの製図の課題を提出していないことを知って心配し、「2学期の評定が1になってしまうけど、どうして間に合わなかったのかね。お母さん、悲しむね」と声をかけていた。

 2日経っても3日経っても裕太君は家に帰らない。

 さおりは、この言葉が家出の原因だとして立花を激しく糾弾、学校や県教委にすさまじい抗議を始める。

 最寄りの駅の防犯ビデオの解析から、裕太君が東京方面に向かったことがわかった。するとさおりは、立花に対し、東京でビラを配るから、裕太君の写真を持って来いと要求。立花は連日、捜索に駆けずり回っていたが、急遽、あちこちから写真を集めて自宅に届けた。ところが、さおりに激しく罵倒される。

「(写真を)早く持ってきてくれなかったので列車に間に合わなかった。どうしてくれる。担任は学校を辞めてもらいたい。許さない。東京へ行って捜しなさい。のうのうと寝ていないで外に見つかるまでいろ。子供が家出以来、私は何も食べていないのに、なんであなたはブクブクしていられるんだ! 子供を早く返して! 裕太が死んだら責任取りなさいよ!」

■「お前は馬鹿だ、人殺しだ!」

 立花とともに捜索を行っていたバレー部部長の教師も、電話でさおりに怒鳴られている。

「東京で配るのにビラ4000枚が必要だ。子供の青春をつぶした学校は責任を取れ! 東京へいっしょに来い!」

 裕太君は9月5日、ようやく上野で無事保護される。だが、さおりの攻撃は収まるどころか、謝罪のため自宅に訪れた立花らに、前述のように「担任退職」「校長謝罪」を強要したのである。

 以後、裕太君は不登校になる。

 するとさおりは、県教委やPTA会長、教頭などに何本も電話を入れ、「立花担任は学校を辞めろ!」「学校は謝罪文を持って来い!」などと強硬に主張した。校長は謝罪文を渡そうとしたが拒絶し、「学校が子供を死にたいと思うまで追いつめた」という一文を入れた新たな謝罪文を要求する始末。

 これを断られると、

「お前は馬鹿だ、人殺しだ!」

 と、電話で校長に何度も怒鳴った。

 そして再び学校を非難し謝罪を求める電話やメール、ファックスを、あらゆる関係先に大量に送り付け始めた。

 また、裕太君に精神科を受診させ、「うつ病」と書かれた診断書を県教委にファックス送信した。

 しかし、家出の原因は本当に担任のせいだったのか。

 9月26日、登校を再開した裕太君は、教師たちにこう打ち明けていた。

「お母さんが怖くて家に帰りたくなかった。遠いところへ行けば、お母さんに見つからないと思った」

「特別読物 学校を破壊する『モンスターマザー』の傾向と対策――福田ますみ(ノンフィクション・ライター)」より

福田ますみ(ふくだ・ますみ)
1956年、横浜市生まれ。立教大学社会学部卒業後、専門誌、編集プロダクション勤務を経てフリーに。2007年、『でっちあげ』で新潮ドキュメント賞受賞。今年3月には「新潮45」連載の「モンスターマザー 長野・丸子実業高校『いじめ自殺』でっちあげ事件」で、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」作品賞を受賞した。

週刊新潮」2016年4月7日号 掲載

新潮社

「優しさ分けてくれた」中学生の奮闘、被災者に勇気 避難所運営の力に

 約千人が避難生活を送る熊本市中央区の江南中で、被災者支援に中学生たちが奮闘している。ごみの片付け、トイレ掃除、高齢者への声掛け。水が足りないときは運動場に白線で「のみ水ください」と書き、実際に飲料水が届いた。地元の若者の頑張りに被災者も勇気づけられている。

 「元気ですか」。19日午前、体育館で食事をしていた高齢の夫婦に中学生2人が声を掛けた。定期的にごみを拾いながら、被災者の体調を確認するためだ。

 家庭科室で作った炊き出しを出すとき「ご飯ができました」と声を掛けるのは、江南中出身の高校生の役目だ。列を作る人には中学生2人が滅菌用にウエットティッシュを配り「頑張りましょう」と声を掛ける。

 誰に言われたわけでもない。地元の大学生が支援を始めた姿を見て、避難していた江南中の生徒を中心に「自分たちも何かできないか」と自主的に活動が広がったという。自宅で寝泊まりしている生徒たちも加わり、1日に20~30人が避難所で汗を流している。

 夫婦で避難してきた金子信子さん(73)は「避難所生活や地震で緊張が続くけれど、子どもたちの頑張りを見ると和らぎます」と笑顔。普段は1人暮らしの井上雅子さん(78)は支援物資で菓子が届いたとき、中学生からあめ玉を手渡され「自分たちも大変なのに、優しさを分けてくれて涙が出た」と振り返る。

大人たちと一緒に「がんばるけん」

 熊本市では断水が続き、避難所の水不足も深刻だ。そこで16日には、運動場に「のみ水ください」と白線を引き、上空から見えるようにSOSを発信した。その画像が短文投稿サイト「ツイッター」で広がった。17日夜から、ペットボトルやタンクで飲料水が続々と届き始めたという。

 18日には自衛隊給水車も初めて到着した。避難所をまとめる江南地区の田上一成自治協議会長(79)は「当初の10倍に増えた。長期的な避難になればまだまだ足りないが、大変ありがたい」と感謝する。

 生徒たちもお礼の気持ちを伝えようと、運動場の白線を「のみ水ありがとう」と書き直し、避難生活を送る大人たちと一緒に「がんばるけん」と付け足した。

 「困っている人が心配」と自宅から毎日通う江南中3年の野崎シエラさん(14)は「地域でお世話になっている人ばかり。お互いに助け合いたい」と語り、お年寄りたちと笑顔で言葉を交わしていた。

=2016/04/19付 西日本新聞夕刊=

西日本新聞社