しかしながら、では今後もそれなりにほどほどの地位でいられるかといわれると、これはまったく安心できない状態だろうと思います。とりわけ、日本経済の生産性の低さは目を覆わんばかりの状態で、主要先進7カ国の中では問答無用の最下位なのが日本です。
 
日本の生産性の動向 2014 年版
 
 もちろん、これは日本人全体のことであって、補助金漬けの一次産業や財政支援がなければ立ち行かない地方経済にぶら下がっている人口がおおいに生産性の足を引っ張っていることを考える必要があります。それを入れて平均にすると、最下位でも仕方がないところではあるのですが、それでも生産性が低い、労働人口を効率的に経済活動に向かわせられていないという反省はするべきです。
 
 すでに高齢に差し掛かった労働者を「これからは世界市場が大事だから技術と英語力を磨け」と言われても困惑されるだけかもしれません。ただ、もしも日本の生産性をいま一度引き上げ、国際経済で充分な競争力をもてるだけの企業をAppleGoogleのように持ちえるよう考えていこうとするならば、教育と技術を社会の優先課題に掲げるのは必須となります。
 
 要は、スマートフォンのようなガジェットでは日本はリーダーシップを取れるような企業を生むことはできなかったけど、世界が動く次の技術で相応のポジションを確保するぞと考えるならば、日本社会がしっかりと優先順位を見極めて投資をしていかなければならないだろうということです。
 
 日本全体をどうにか維持していくためのシステム思考もさることながら、少子化の進む日本でどのような教育と技術に絞り込んで、優れた人物を生み出そうとするのか、国民全体の議論として方向付けていくことが大事なのではないかと思います。