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GenSenNews ~KoKoRo

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ランドセル、家計に重荷 無料配布や見直す動き広がる

思考

間もなく入学シーズン。真新しいランドセルを背負った小さな子どもたちの姿を思い浮かべるが、最近は素材や機能にこだわった高額のランドセルが人気という。ただ、すっかり定着しているこの通学スタイルも義務ではない。近年はランドセルの入手が生活困窮家庭の重荷になっていることもあり、無料配布や見直す動きも広がっている。

<いま、学校で>貧困が招く「10歳の壁」 両親が離婚、家庭の経済状況悪化…

 薄紫、ピンク、花の刺しゅう入り…。福岡県のあるかばん店では年間を通して多彩なランドセルを陳列、販売している。最も安いもので4万円、最高値は12万円。売れ筋は5万~6万円の商品という。別の店で6万円のランドセルを買った福岡県の母親は「6万円でも安い方だと思った」と“相場観”を口にした。

 日本鞄(かばん)協会ランドセル工業会などによると、今の形のランドセルは明治時代から使われ始め、高度経済成長期の1950年代後半から全国に普及したとされる。平均価格は年々上昇。バブル経済崩壊後しばらくは横ばいだったが、この10年は物価の変動がほとんどない中、再び右肩上がりに。70年の6千円が、2014年には約4万2千円と7倍になった。少子化で市場が縮小する最近はこだわりの高額商品も目立っている。

ランドセル通学、暗黙のルール

 一方、大量仕入れで価格を抑える小売店もあり、ディスカウントストア「MrMax」(福岡市)が売り出した約2万5千円の最安値商品は、3月までにほぼ完売したという。

 公立校のランドセル通学は、法律や規則で決まっているわけではない。しかし6年間使う耐久性や容量の大きさからランドセルの利便性は高く、学校が勧めるケースもあって使用が当然のようになっている。

 ただ、その負担に苦悩する保護者も少なくない。宮崎県日南市の20代のシングルマザーは勤務先の月収が手取り10万円。この春小学1年生になる長女(6)のランドセルを買えず、相談した両親から5万円を出してもらった。女性は「お下がりのランドセルを使っていた親類の子どもが周囲にからかわれたと聞いて買わざるを得ないと思った。学用品の中でも特に高く、困窮している家庭のことも考えてほしい」と訴える。

 九州のある母親は公的支援を受けながら小学生の子ども3人を育てており、ランドセル購入費は計9万円に上った。「ランドセルは確かに便利だが、9万円を他の教育費や生活費に回せたかもしれない。暗黙のルールを変えることはできないのだろうか」と言う。

 こうした実態を受けて、茨城県日立市は、約40年前からランドセルを新入生全員に無料で配布。本年度も今春入学する約1380人のため約1千万円を予算計上した。また島根県出雲市では通学用にスポーツ用品店が販売するリュックサック(約5千円)が普及。店の担当者は「ランドセルを扱う業者からは恨まれたが、安さと使いやすさから浸透した」と話した。

 18歳未満の子どもの6人に1人が貧困家庭で育つ日本。ランドセル通学に疑問を抱く声は少なくない。

=2016/03/25付 西日本新聞朝刊=